【点群データ・測量】GNSSとは?
【点群データ・測量】GNSSとはどういったものなのか?
点群データを得るために測量を行う際、GNSSと呼ばれるシステムが利用されることがあります。このシステムは、高精度な測量を行ううえで欠かせません。
こちらでは、「GNSSとは?」といった疑問を抱いている方を対象に、GNSSによる測量の仕組みとデータ処理の流れ、GNSS測量の精度を左右する要因とその改善方法、GNSS測量に使用される主要機器の種類と特徴についてご紹介いたします。
GNSSによる測量の仕組みとデータ処理の流れ

GNSS測量とは、人工衛星からの信号を利用して地上の点の正確な位置を測定する技術です。この測量システムは、測量分野において重要な役割を果たしています。以下では、GNSSによる測量の仕組みとデータ処理の流れについて解説いたしますので、ぜひともご覧ください。
GNSS測量の仕組み
GNSS測量は、主に以下の3つの要素で成り立っています。
人工衛星
地球周回軌道上には、GNSS測量に利用される多数の人工衛星が配置されています。代表的なものとして、アメリカのGPS、ロシアのGLONASS、日本のみちびきなどがあげられるでしょう。これらの衛星は、正確な時刻情報と自身の軌道情報を常に電波で地表に向けて送信しています。
GNSS受信機
地上に設置される受信機は、人工衛星からの電波を受信します。受信機は、電波が衛星から自分自身に届くまでの時間を計測し、そのうえで位置を算出する機器です。
コントロールセンター
地上に設置された追跡局ネットワークと管制局から構成されます。衛星の軌道を監視・制御し、衛星の正確な位置情報や時計の補正情報などを生成し、衛星にアップロードする役割を担っています。
GNSS受信機が複数の衛星からの信号を受信することで、自身の三次元的な位置(緯度、経度、高度)を正確に計算可能です。複数の球面の交点を求めることで、一点に位置を特定します。
GNSS測量にはいくつかの手法がありますが、測量分野で高精度な位置情報を得るためには、単独測位よりも相対測位と呼ばれる手法が一般的に用いられます。相対測位では、位置が既知の基準点に設置した受信機と、測量したい点に設置した受信機で同時に衛星からの信号を受信します。両方の受信機で得られたデータを解析することで、基準局と移動局間の相対的な位置関係を高精度に把握可能です。これにより、大気遅延や衛星の時計誤差などの共通誤差を相殺し、数センチメートル級、場合によってはミリメートル級の精度を実現できるのです。
GNSSデータの処理の流れ
一般的なGNSSデータ処理の流れは以下のようになります。
1.観測データの取得
GNSS受信機を測量点に設置し、一定時間、衛星からの信号を観測・記録します。観測時間は、要求される精度や測量手法によって異なりますが、高精度な測量では数時間から一日以上の観測が必要となる場合もあります。
2.基線解析
観測終了後、基準局と移動局で取得した生データを専用のソフトウェアに取り込み、解析を行います。この処理により、基準局から移動局へのベクトルを高精度に算出します。
3.網平均計算
複数の基線ベクトルが得られた場合、それらの基線ベクトルに矛盾がないかをチェックし、最も確からしい各点の三次元位置を決定するための計算を行います。
4.座標変換
計算によって得られた三次元直交座標を、要求される測地系に変換します。
5.成果の出力・管理
最終的に得られた各測量の点の座標値や関連情報を整理し、測量成果として出力します。
GNSS測量の精度を左右する要因とその改善方法

GNSS測量は、現在多くの分野で欠かせない技術です。しかし、その精度はさまざまな要因によって変動します。今回は、GNSS測量の精度を左右する主な要因と改善方法について解説します。
GNSS測量の精度を左右する主な要因
衛星の配置
GNSS受信機が補足している衛星の配置は、測位精度に大きく影響します。空全体に均等に配置されている場合、精度は高くなるでしょう。逆に、特定の方向に固まっている場合や、捕捉している衛星数が少ない場合は、精度が低下します。
電離層・対流圏遅延
GNSS衛星から送信される信号は、地球の大気圏、特に電離層や対流圏を通過する際に速度が変化し、遅延が発生します。この遅延は、大気の状態によって変動し、測位誤差の原因となります。
マルチパス
GNSS信号が、建物や地面、水面などに反射してから受信機に到達する現象をマルチパスと呼びます。反射された信号は直接波よりも遅れて到達するため、誤った距離情報として処理され、測位誤差を引き起こします。
GNSS受信機の性能
使用するGNSS受信機の性能も、精度に直結します。高性能な受信機ほど、微弱な信号を受信したり、マルチパスの影響を軽減したりするため、より高精度な測位が可能になります。
周辺環境
GNSS信号は建物や樹木などの障害物によって遮られたり、弱められたりします。見通しの悪い場所での測位は、捕捉できる衛星数が減少し、精度が低下する要因となります。
GNSS測量の精度を改善する方法
良好な衛星配置の確保
測量を行う際は、できるだけ空が開けている場所を選びましょう。これにより、より多くの衛星を捕捉し、良好な状態を確保できます。
補正情報の活用
電離層や対流圏による遅延、衛星軌道の誤差などを補正するために、さまざまな補正情報が利用されています。ネットワーク型RTK測位では、既知の基準点からの補正情報を利用することで誤差を低減し、高精度な測位を実現しています。
マルチパス対策
マルチパスの影響を避けるためには、反射源の近くでの観測を避けることが重要です。また、高性能なGNSS受信機には、マルチパス信号を識別・除去する機能を持っているものもあります。
GNSS測量に使用される主要機器の種類と特徴
GNSS測量を行ううえで欠かせないのが、高性能な測量機器です。
GNSS測量機器は、その用途や精度によっていくつかの種類に分けられます。ここでは、主要な機器の種類とその特徴について解説します。
GNSS受信機
GNSS測量の最も基本的な機器であり、衛星からの信号を受信して位置情報を計算します。精度や機能によってさまざまなモデルが存在します。
シングル周波数受信機
一つの周波数帯の信号のみを受信するタイプです。比較的安価ですが、高い精度を必要とする測量には向きません。さまざまな測量方式に対応しています。
デュアル周波数受信機
複数の周波数帯の信号を受信することで、電離層の影響を補正し、より高精度な測量を可能にします。リアルタイムでの高精度測位に広く利用されています。
マルチシステム対応受信機
複数のGNSS衛星システムに対応しています。利用できる衛星数が増えるため、測位可能エリアが広がり、安定した測位が可能となります。
コントローラー
GNSS受信機と接続し、受信したデータを管理・処理したり、測量プログラムを実行したりする端末です。
専用コントローラー
測量業務に特化した堅牢な設計の端末です。現場での利用を想定しており、防水・防塵性能が高く、直射日光下でも見やすいディスプレイを備えています。
汎用端末(スマートフォン、タブレットなど)
専用アプリをインストールすることで、コントローラーとして使用できます。導入コストを抑えられますが、耐久性や屋外での視認性は専用コントローラーに劣る場合があります。
アンテナ
衛星からの信号を受信する部分です。受信機の種類や用途に応じてさまざまな形状や性能のアンテナが使用されます。
チョークリングアンテナ
マルチパスの影響を低減し、高精度な測位に貢献します。
測量機器をお求めでしたら株式会社SGSへ
「GNSSとは?」といった疑問を抱いている方を対象に、GNSSによる測量の仕組みとデータ処理の流れ、GNSS測量の精度を左右する要因とその改善方法、GNSS測量に使用される主要機器の種類と特徴についてご紹介しました。
点群データを得るためには、測量が欠かせません。そして、測量を行うには、機材が必要です。株式会社SGSでは、測量機器の販売・レンタルを行っています。要望に合った機器をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
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